第319章

 正直なところ、今の彼にとって山下那美という女への感情は、いささか複雑なものだった。

 自分は今でも彼女を愛している。だが目の前にいるその女は、かつて記憶の中にいた彼女とは、どこか決定的に違ってしまっていた。

 ふう、と一つ溜息をつき、高遠令治は視線を戻すと、やるせなさそうに首を振る。

 子供には何の罪もない。本音を言えば、あんな愛らしい少女に手を出すことなどしたくはないのだ。

 だが、山下那美が最近味わった苦痛、そのすべてがあの男女によってもたらされたものだと考えると――。

 高遠令治は意を決したように再び首を振ると、携帯電話を取り出し、素早く番号をダイヤルした。

「おい、すぐ...

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